薬剤師が思わず笑ってしまう、薬局あるある日記

調剤薬局あるある

調剤薬局では毎日いろいろなドラマが生まれています。

患者さんとの関わりは毎日ホッコリの連続。

いつもの薬なのに「今日はたくさんね~!!」と驚くお年寄り。

名前を呼んだら、二方向から「はいっ!」と返事があり、スタッフの時が止まるあの瞬間。

そして、薬剤師同士で「〇〇さん?あ~、□□錠(薬の名前)が出ている方ね。」とつい薬の名前で覚えてしまう日常。

忙しい中にも、クスっと笑えて心が温まる瞬間がたくさんあるのです。

今日はそんな”薬局での小さなあるある”を3つご紹介します。

① お年寄りの可愛い勘違い編(ほっこり薬局日誌:いつもの薬に驚く「おとぼけさん」の物語)

「田中様~、お待たせいたしました!」

いつものお薬を分包機から取り出し、きっちり整理した袋を抱えて、私は受付前の待合スペースに座る田中さん(仮名)のもとへ向かいました。

田中さんは、もう何年も当薬局を利用してくださっている、穏やかで可愛らしいおばあちゃんです。

ま~、今日はたくさんね!!」 薬の袋を受け取った瞬間、田中さんは目を丸くして驚きの声を上げました。

えっ、いつも通りのはずだけど…!?) 私の胸は一瞬でドキッと跳ね上がりました。

最近、薬の変更や追加はなかったはず。

もしかして、どこかで違う方の薬を準備してしまったのか?

一瞬にして頭の中でエラーが起こります。

わたし:「田中さんですよね?」

田中さん:「はい、そうよ」

わたし:「こちら、いつものお薬で内容も量も変わりはないのですが…」

田中さん:「ま~ま~!それでもたくさんね~!」

何度確認しても、田中さんの反応は変わりません。

私は再び、処方せんと薬の袋、そして田中さんの顔を見比べました。

名前も、生年月日も、薬の種類も完全に一致しています。

安堵と同時に、クスッと笑いがこみ上げてきました。

結局、田中さんはただ「いつもの薬」が、その日はやけに「多く」見えただけだったようです。

薬の袋の膨らみ方や、他の患者さんの薬と比べてしまったのかもしれません。

この一件は、私にとって大きな教訓となりました。

ほんの少しのおとぼけだったとはいえ、薬局では本当に同姓同名の患者さんの間違いや、

薬の内容の誤認が起こりえます。

患者さんの「いつもと違う」という一言は、時には重大なミスを知らせるアラームになるのです。 笑顔で帰っていく田中さんの後ろ姿を見送りながら、今日も無事に正しい薬を渡せたことに、深く感謝しました。

薬剤師としての気づき①

どんなに慣れた患者さんからの「いつもと違う」という一言でも、絶対に流さず、名前と処方内容を何度も確認する慎重さが、安全の土台となる。

② ピタッと時が止まった!薬局待合で起きた「ダブル返事」の瞬間

調剤薬局では、思わぬハプニングが毎日のように起こります。
今日はその中でも、スタッフ全員の時が止まった“ダブル返事事件”のお話です。

「佐藤、はなこ様~、お薬のご用意ができました」

いつものように、私は明るい声で患者さんの名前をお呼びしました。すると、待合室の右奥と、受付近くの椅子、二方向から、同時に元気の良い「はい!」という返事が返ってきたのです。

(え…今、二人から?)

一瞬、調剤室にいたスタッフ全員の動きがピタッと止まりました。私自身も「あれ?」と思い、もう一度、ややゆっくり目に「佐藤、はなこ様」とお名前を繰り返しました。

結果は同じ。二人のご年配の患者さんが、どちらもこちらを見て「はい」と手を挙げているのです。

受付スタッフと私は顔を見合わせ、「時が止まる」とはこのことかと実感しました。名前が似ているならまだしも、まったく同じ名前で、しかも同時に反応されるとは予想外です。

特にご高齢の方は、耳が遠かったり、他のことを考えていたりして、自分の名前と全く違っていても、「自分を呼んだらしい」という雰囲気だけで反射的に返事をしてしまう傾向があるように感じます。

焦ってはいけない。そう心の中で唱え、私は両方の患者さんのもとへ静かに近づきました。

まずお一人目の方に「大変恐れ入ります、本日お薬をお渡しする佐藤はなこ様で間違いありませんか?」とフルネームと生年月日を確認。続けてもう一方の方にも同じように確認をさせていただきました。

結果、お一人だけが本日お渡しの佐藤様でした。もう一方の方は「ごめんね~、呼ばれた気がして」と、にこやかに笑ってくれました。

薬を無事、正しい患者さんにお渡しし終えた後、調剤室に戻ると、スタッフ同士で顔を見合わせ、「いや~焦ったね!」

「まさかのダブルヒット!」と、クスッと笑いあいました。

実際に、もし私が最初の「はい!」だけで薬を渡していたら、重大な投薬ミスにつながっていたかもしれません。

この一件は、薬を渡す直前の「最終確認」の重要性を痛感させてくれました。

薬剤師としての気づき②

どんなに時間がなくても、患者さんの返事だけで判断せず、フルネームと処方内容を患者さんと一緒に確認し、薬剤師・患者の双方でチェックを行う「ダブルチェックの精神」が絶対に欠かせない。

③ ごめんなさい!名前より薬で呼んでしまう私たち(薬剤師あるある)

調剤薬局では、患者さんの顔や会話を毎日のように思い出します。
でも時々、名前よりも先に“薬の名前”が頭に浮かんでしまうことがあるんです。

「ねえ、さっきの田中さん、今日はちょっと元気なかったわよね」と薬剤師Aが話しかけてきました。

私は一瞬、「田中さん…どの田中さんだっけ?」と頭の中でフルネームを検索してしまいます。薬局にはたくさんの田中さんがいるからです。

しかし、Aさんが続けて「ほら、あの胃薬の△△(薬の名前)と、血圧の〇〇(薬の名前)を飲んでいる田中さんよ」と言い換えた瞬間、すべてが繋がります。

「ああ!あの方ね!そうそう、最近ちょっと調子が悪そうだわ」

これ、薬剤師にとっての「あるある」なんです。

患者さんの顔や会話は覚えているのに、名前より先に「処方されている薬」で記憶が紐づいてしまう。頭の中のカルテは、もはや「田中さんのファイル」ではなく、「高血圧と胃薬のファイル」に分類されています。

患者さんとの大切な会話も、「お名前」ではなく「薬の内容」に紐づいたエピソードとして思い出される日常。

「薬剤師失格?」と思うかもしれませんが、これは患者さんの薬物治療の安全を最優先で考えている証拠だと、こっそり言い訳しています。

名前より薬で覚えてしまう——
それは、私たちが患者さんの“生活の一部”である薬を、
誰よりも真剣に見ているからかもしれません。
今日も、薬袋の中に“その人らしい日常”を見つけながら働いています。

まとめ:薬剤師の仕事は「クスッと笑える」日常と「確かなプロ意識」の連続

今回ご紹介した3つのエピソードは、薬局で日常的に起こる、心温まる「あるある」です。

いつもの薬に驚くお年寄りの患者さんとのやり取りには、日々の業務で感じる患者さんとの親密さが滲んでいます。

また、名前を呼んで二方向から返事が来る瞬間の焦りと緊張は、投薬ミスの危険性と隣り合わせの業務であることを再認識させてくれます。

そして、患者さんの名前より「薬の内容」で記憶してしまうという職業病は、薬剤師が常に”「薬の安全性」を最優先”に考えているプロ意識の表れです。

こうした「クスッと笑える」親しみやすいエピソードの裏には、患者さんの健康と命を守るという真剣な責任感が隠れています。

薬剤師の仕事は、人と薬をつなぐ、やりがいと温かさに満ちた仕事なのです。

この記事を書いた人

岡山県に住む30代の薬剤師です。
12年間調剤薬局で勤務。
薬局で誰もが「それあるある!!」と感じることを発信したいと思い、このブログを立ち上げました。
クスっと笑えることから、役に立つことまで色々発信していきたいと思います。
ぜひ、みなさまご覧ください。

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